1
宮村に春がきて、朝靄に包まれる美しい季節。
早朝の靄に包まれた岩の前に今日も巫女の姿があった。
巫女「黒龍さまおはようございます」
巫女「温かくなって鶯が鳴いてますよ…寂しくありませんねーにっこりー」
その様子を見守る影はアハーシャラに帰依し善神となったはずの黒龍であった。
龍体を脱ぎ捨て、神に帰依し、魂となった己の姿に巫女は気づくよしもない。
が、気づく者もいる。
虎紋呪の僧だ。
お節介でやたら強い、本当にヒトなのか否か。
僧「まだこんな所にいたのか」
黒龍「……」
僧「赤木の巫女は今朝も来ているようじゃなあ」
黒龍「……」
僧「今日は笑ってるようじゃ」
黒龍「……もうすぐ泣く」
僧「……黒龍が未だ此処より離れられぬのは純潔な乙女の涙のせいか……」
黒龍「……黙れ」ぷいっ
巫女「鶯も恋しい方を呼んでいるのでしょうか……ー目が潤むーわたしの愛しいお方も呼んできてくれればよいのに……」
┐(´д`)┌ヤレヤレ
僧「別れを告げる間もなく村を守って龍穴の礎になったんじゃ……アハーシャラ様も少しくらい大目にみてくれるじゃろ(o´罒`o)ニヒヒ♡」
虎紋呪僧が印を結んで錫杖を掲げる、と、あたりに眩い光を放ち、黒龍は現世に生きるヒトの姿に……。
眩い光に驚き見上げると、涙の滲む巫女の瞳に愛しいお方の姿が映る。
巫女「黒龍さま……」
少し驚いた表情で自身の姿を確かめる黒龍。
黒龍「僧よ、感謝する」
僧「その姿で長くはいられまい。乙女に別れを告げたら、今度こそ仏に帰依し、神の道に精進するんじゃぞ」
↓きいてないレ(゚∀゚;)ヘ
そんな僧のいうことなど耳に入っているのかいないのか……。
再び愛見えることのできたふたりは固く抱き合い口ずけを交わす。
再び┐(´д`)┌ヤレヤレ
1と2のあいだニャ(灬ฅฅ灬)♡*゜
「や、だ、だめです💦」
「……なにが、だめなんだ(´・_・`)」ー真顔ー
はう……それはディープな口ずけのあと……
「わ、わたし、もう」
はふぅ……
手をのばす、が
「や、ふ、触れてはぁ💦」
💦少し戸惑うが、そっと優しく頬にふれてみる、と
「きゃっ、んっ」💦💦
あーあ、巫女の体に快楽と云う名の稲妻がはしる💧
Σ(゚ω゚ノ)ノびくっ
「い、嫌なのか(´・ω・`;)💧」
「💦ちがうんですっ違うんですっ・゚゚(p>д<q)゚゚・」
「💧(-_-#)」わからん……
2
ゴォゴォ ザザーっ
ビューぅぅぅぅ
春の嵐が宮村に吹き荒れる
風の音、雨の音、雷の轟に混じって
グォンォぉぉぉぉん
低く荒れた呻き声が聞こえてくる
僧「喝っー!なにをやっとるんじゃ!」
黒龍「……」
その声の主はシラットした顔であさっての方を向いている
僧「今すぐ、アハーシャラ様の元へ立ち去れ!このバカものめ!」
黒龍「……」
僧「きいてるのか?」
黒龍「……(。-_-。)」
ふてくされてるようにも見えるその横顔に怒っていたはずの虎紋呪僧もなにかを察し。
僧「なんじゃ、赤木の巫女とケンカでもしたのか」
黒龍「……違う」
僧「じゃあなぜまた悪行を重ねる( ˘ •ω• ˘ )」
黒龍「……悪行……」
僧「もう悪さはやめて、アハーシャラ様に使え善神になるとの約束では……。」
黒龍「……違うて」
僧「じゃあ💨なんなんじゃ、ゆうてみよ」
黒龍「だから……」カアア……(。-_-。)
いえないで、黙ってしまう
僧「(๑˙―˙๑)?」
黒龍「……いや(。-_-。)」
僧「……もしや、お主らまだ(゚m゚*)プッ」
黒龍「うるさい!」カアアアア(//〇__〇//)
その辺にある枯木のたぐいを壁に叩きつける黒龍。
黒龍「この力が……この忌々しい力が強すぎて……ーすごい形相ー」
僧「ププ━(〃>З<)━ッッ!!!赤木の巫女とてヒトの子……龍は受け止められなんだか」
笑いが止まらなくなる虎紋呪にブチ切れる黒龍。
黒龍「なにがおかしい!」
ガシャーーン
再び、枯木を投げるのかと思いきや、岩を砕くストレス溜まってますなあ(´・ω・`;)💧
僧「いやいや、それで力を持て余してのこの惨事か……クックック(*゚ε゚*)プッ!!」
黒龍「おのれ、生臭坊主め」
ゴォゴォと怒りの炎がわきあがる。
龍だけにいちいちオーバーリアクションになってしまう。
僧「気持ちはわかるが、こんなことをやっていてもしょうがあるまい。一度アハーシャラ様の元にお伺いしてみよ(´・ω・`;)💧」
黒龍「……」
嵐のすぎた村のハズレに大きな棍棒をもったこれまた大きな体がふたつ……
マサ「ここが、龍を退治したとゆう巫女の住まう村かあ」
マジマ「なあに、龍を退治したといってもたかが人間」
マサ「でも、その人間を喰らえば……クックック」
マジマ「我ら無双の力を持つ鬼となること必定!」
なんか悪そう(´・ω・`;)💧な鬼ちゃんズ登場で2話目は終わりにしとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ。
3
「はあ」
賽銭淵には大きくため息をつく巫女の姿があった。
「黒龍さま……いらっしゃらない……」
「なんじゃこんなところにおったのか」
「!?虎紋呪さま💦」
「黒龍じゃなくて残念じゃったなあ(*´艸`)」
「カアア(//・_・//)カァ~ッ…」
俯いた美しい横顔にうっすらと涙が滲む
「(๑˙―˙๑)?ど、どうした💦」
「な、なんでもありません💧」
「泣いておるではないか💧」
「じわわわあん💧わ、私が悪いのです」
「はっ?」
「赤木の巫女でありながら、黒龍さまを受け入れることができない……(´•̥ ω •̥` )なぜなのでしょう?」
何故でしょう?と仏の道に帰依している僧にそんなこときく?というわけにはいかない、
僧とゆうのは煩悩にも答えられるマニュアルがちゃんとあるのだ。
「ー(`・ω・)ノ( ´д`*)なでなで💧ー巫女よ、嘆いてはいけない。純潔な巫女であるそなたが、黒龍を受け入れられないのもこれまた至極道理に叶っておるのだ」
「えっ?」
「これまでの黒龍の行なってきた悪行を想えば、清廉潔白な乙女には毒気が強すぎるのじゃろーΣ(。>艸<。)」黒龍「なにー!(`o´)」
「くすっ」
可愛い笑顔がこぼれたが、ミレイユじゃないので、(そうよねー♡だいたい竜は悪いのよ)とはならないとおもふ☆彡.。
「あのお方の瞳……お声……何気ない仕草……淵で水浴びされていた時の水しぶきでさえ愛おしいというのに……」じわー
「は、はあ(´・ω・`;)💧」
「ならいっそ穢れてしまえば…」
「バカなことをいうでない!」二人揃ってまったく┐(´д`)┌
「でも……(´•̥ ω •̥` )💧」
「黒龍がこないのはな、アハーシャラ様のところへ行かせたからじゃ、なに、じきに純潔の乙女に相応しい魂になって帰ってくるわ(笑)」
「えっー*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*パァァァァーではあの嵐は」
「おまえさんの考えすぎじゃ」←ウソしかつかないジジイ
「よかった……」
華のような笑みを浮かべて喜ぶ赤木の巫女をおいて立ち去る虎紋呪僧。
そんなふたりの姿を遠くから眺めている者がいる。
「やっといったか、おしゃべり坊主め!」
「でもワレは、法力が苦手なんじゃ」
物陰で囁くふたつの巨大な影。
「それにしても愛らしい……決めた!こいつはオレの女にするぜ!」
4
虎紋呪僧が賽銭渕から、坂を上がって西に向かって歩いていくと、赤い橋のたもとからなにやら小物達の囁き声が聞こえてくる。
「お主もみたのか」
「もちろん、凛々しいお姿だったわさ~」
「なにをいうておる( ˘ •ω• ˘ )鬼など悪行を重ねたヒトの成れの果てではないかっ」
「そうそう、里を追われて海にでたとか」
「あら、ベタな設定、鬼ヶ島ってこと」(・∀・)ケタケタ
「(◦`・н・´◦)ムッでもぉ、巫女を食べて無双のおにになるらしいわよ」
「ヒトがヒトを食べるとは、呆れた話ぢゃ」
Σ(゚д゚lll)
なんと、小物達の話しているのは?
巫女とゆうのはもしや……。
胸騒ぎがして、来た道を走って引き返す、が
「Σ(゚Д゚ υ) キャアアアアアアアアアア」、
くわあああ、くわあああ
バサバサバサバサっ
「しまった」
立ち竦む虎紋呪僧……。巫女は一体どうなってしまうのか。
ザザーン、ザザザザーン
「うっ」
波の音にうっすらと目を開ける巫女。
山育ちの巫女の目に見た事のない景色が飛び込んでくる。
「す、すごい!」
初めて見た海に感動する巫女。
感動してる場合ではないのだが……(;-ω-)ウーン💧
「よぉ、起きたか?」
そこに大きな身体の顔立ちのやたらはっきりした者が現れる。
「(๑˙―˙๑)?」
「✋( ͡° ͜ʖ ͡° )オレはマサ、こいつは、マジマ」
「まあ、゚ .(・∀・)゚ .゚パァァァ」
「よろしくね」
マジマと紹介された鬼も変な顔をして距離をおいて挨拶。
「こちらこそ(´˘`*)私は赤木の巫女でございます。あなた達はもしや。アハーシャラさまのお使いでは」
「は(๑˙―˙๑)?」
「アハーシャラ様のお使いで、わたしをお住まいまで連れてきてくだすったのですね(´。✪ω✪。`)✧*。」
「はああああ( ˘ •ω• ˘ )」
「バカなことをいうな、おまえ巫女さんのくせに状況まるでわかってねぇな!」
呆れ顔でつばをとばしてまくしたてるマジマ。
「え……(*´・д・)?」
「まあ、まてマジマ」
マジマを手で制すマサ。
「ここは、オレ達の住処、鬼ヶ島!で、アンタはオレの花嫁にするためにここにつれてきた」
ドヤ顔、ウィンクの決めポーズがなかなかにイケてるマサ。
まだ、自分の置かれている立場の理解できていない赤木の巫女(´・ω・`;)💧
マジマは深いため息をついた。
5
ザザザザーン
ザザーザザザザーン
「わたし、帰ります…」
( ゚д゚)ポカーン
巫女は立ち上がるとスタスタと歩きだす。
慌てて止めるマサ。
「お、おいっ!待てって」
ピタっ
「(๑˙―˙๑)?」
くるっと、鬼達の方に向かってお辞儀をする赤木の巫女。
「すいません、わたし、あなたのお嫁さんにはなれないので、帰ります」
「((( *艸))クスクス帰るって言ったって、ここが、何処か?どっちに向かえば帰れるのか?おまえわかるのかよ」
少し黙って考える巫女。
「……そうですが、……わたしは帰らなければなりません。私は赤木の巫女。宮村を守って黒龍さまの龍穴をお守りするのがわたしの役目なのですから」
もう一度頭をさげるとスタスタと歩きだす巫女。
「ちょっと、待てってば!」
腕を掴み、巫女を止めるマサ。
デカい上に力も強い。
「痛っ」c(>_<。)ゞ*イタイノ…
「あ、ご、ごめん💦」
あたふたと巫女をいたわるマサ。
そんな様子にイラッとするマジマは
「なにやってんだ、こっちこい!女!」
「きゃあ」💦
強引に巫女を肩に担いで住処に連れていく。
ドサッ
「しばらくここでじっとしてろっ」
乱暴に娘を下ろすと飲み物をおいてバタンっと扉を閉める。
その頃、アハーシャラ様の住まう天界の黒龍の元に金獣伯が、巫女の危機を報せに飛び込んできた。
「なんだと!おのれ鬼の分際で!」
再び鬼より恐ろしい鬼の形相になる黒龍さま(;-ω-)ウーン💧
「黒龍殿~」
アハーシャラ様の使いに呼ばれ、ハッと振り返る黒龍。
「お待たせしておりますが、あいにくアハーシャラ様はお忙しくて謁見は明日となりましてございます」
(*・ω・)*_ _)ペコリ
深々と頭をさげいってしまう使い。
「……そんなに待ってられるか!」
ビリッと片袖をやぶくと、腕の鱗を1枚引きちぎりふぅっとドス黒い息を吹きかける。
ドロンっ
すると己の鱗からもうひとりの己が現れる。
「ふんっ( ¯-¯ )」
金獣伯に向かって
「いいか金、ワレが帰ってくるまでここでワレの化身と待っておるのだぞ!」
ビー玉のような目をピカピカさせて黒龍さまを見つめる金獣伯。(*´﹀`*)可愛い♡
6
ザザザザーン
ザザーザザザザーン
仁王立ちで海を見つめるマジマに近づくマサ。
マサに気づいて振り返るマジマ。
「マサ、なんで人間と関わろうとする。オレ達が人間にどんな目に合わされたか、忘れたのか」
「💦マジマ、怒ってんのかよー」
「……怒ってる、おまえの気まぐれにウンザリしている、つきあいきれない……」
「まあ、そういうなよ💦」
「いいか、人間なんて自分のことしか考えてない、役に立つと思えば親切な顔をしてすりよってきて、使えない、厄介者、自分達となにかが違うと思えば平気で裏切り傷つけ挙げ句に……」
「もういいよ!やめてくれっ」
プイッとそっぽをむくマサ。
「……オレはな、おまえのためにいってるんだ。そんなに傷つけられたいのか?」
「傷つけられる?あんなひ弱そうな娘に、このオレ様が?( ̄∇ ̄)ハンッ」
「バカ、心の話をしてるんだよ、ココロの」
「……」
悲しい顔をして俯くマサ。
「でも、なんかあの娘は、なんか違う……」
「おまえはほんとに…」
と言いかけた言葉を遮り雷が閃光を放って黒い雲が空を覆いだす。
怒ドドーン!
ごごごごごご豪ォォお
突然、竜巻が巻き起こり辺りの空気が一変する。潮を巻き上げ、うねり、飛沫(しぶき)を飛ばして大きな塊が鬼ヶ島にやってくる。
「!?」
「!?」
マサとマジマは何が起こっているのか全くわからず、呆然と海上を極視する。
「!黒龍さま!」
その荒れ狂う畝りの真ん中に、黒龍さま、いた💧
「貴様ら……」
鬼達が畝りの中に光るふたつの瞳をみつけた時。
┣¨┣¨┣¨┣(꒪ͧд꒪ͧ)┣¨┣¨┣¨┣¨ン
「ひぇ~」
空から何かが落ちてきて鬼達を踏みつけた。
「ぎゃっ」
「ふんっ」
そして巨大な尾をひと振りすると、見事命中、ドストライク!
海上の彼方に飛んでいってしまう鬼達(*´艸`)♡ケタケタ
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*パァァァァ
「黒龍さま!」
「巫女よ、無事か……」
シュシュ~っとヒト形になると疲れと安堵の入り交じる愛おしいお姿が現れる。
7
「大事ござりません(❁´ω`❁)」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*パァァァァと明るい顔の巫女が黒龍にかけよる。
「ふぅ」
安堵のため息をつくと、少し気の抜けた黒龍。
その片袖をみて驚く巫女。
「!?黒龍さま、その腕はどうされたのですか?…:(´;Д;`):」
「(๑˙―˙๑)?ああ、これか?」
「血が、傷口に潮が💦」
とっさに傷口に口をつけると潮を吸い出す巫女。
「Σ(゚ω゚ノ)ノそ、そなた(//〇__〇//)」
額のリボンをとり、傷口に巻き付け癒しのヒティーフを唱える巫女。
「これで大丈夫(❁´ω`❁)」
「そ、そなた大丈夫なのか( ´•д•` ;)」
「えっ?」
くらっとヨロける巫女。
「なにが……」
巫女の体がぽわっと火照り、そのまま意識が遠ざかる。
「お、おいっしっかりしろ!」
その背後に弾きとばされたはずの2匹の水も滴る鬼達が……。
「あーあ、やっちまったよ」
「龍の血をすするなんて……その娘、もう普通のまんまじゃいられなくなるかもな」
ガクガクと肩を震わせる黒龍。
その怒りは必然的に……。
「貴様らの、貴様らのせいで!」
蒼白い怒りのオーラを噴出させ物凄ぉい表情で睨みつけられる鬼達は、今度こそ生命の危機を感じた。
「ひぇえΣ(゚ω゚ノ)ノ」
ピューッッッ風に乗ってとっとと逃げるε”ε”ε”(ノ* •ω• )ノ💦
薄らいでいく意識の中でそんなやりとりが耳の奥に沈んでゆく。
巫女「大丈夫。わたし、ほんとに大丈夫なんです……。大事ござりません。黒龍さま、嘆かないで……。その人達のいうことに惑わされてはなりません。……私を信じて……」
言葉にならない言葉が伝わってきた…。けれど巫女の意識は闇に沈んでしまう。
8
それから巫女は深い深い眠りの中にいた。時々ぽわっと火照ったり、幸福そうな笑みを讃えたり、時に蒼白く手足が氷のように冷たくなったりした。
黒龍はそんな巫女の傍らにずっとついていたかったが、そんな訳にもいかず、忙しく天界と宮村をいったりきたりしていた。
龍である己を忌々しく呪ったりもしたし、神や仏を憎々しく思ったりもしたが、その都度、巫女の
「大事ござりません」
とゆう言葉が耳の奥に甦り呪文のように心に芽生える闇を解いてくれた。
天界では説法を聞いたり、愚かなる争いの歴史を学んだりした。かなり退屈で時間の浪費のような気がしたが辛抱強く耐えた。
巫女の守っている宮村には恵みの雨をふらせ、風をおこして、生命の種を広く大地に根付かせたりもした。
ほんとに短いひとときだったのに、巫女と過ごした宮村を愛おしく思った。
そんな7日目の夕暮れ時
山々に靄が経ちこみ始め夕陽と樹木が褐色の美しいコントラストを描き出す刻限にうっすらと巫女は目をあけた。
巫女「あ、わたし……」
黒龍「!美嵐月」
名前を呼ばれたことなんか殆どなかったので、嬉しすぎてうるっとしてしまう。
「黒龍さま⁄(⁄ ⁄•⁄ω⁄•⁄ ⁄)⁄」
「どこか、痛むのか?」
心配の余り頬に触れて、ハッと手を引っ込める黒龍様。
「だ、大丈夫です」
「あ、ああ(´・ω・`;)」
「え、大丈夫ですわ!」
「はあ(๑˙―˙๑)?」
黒龍に触れられても以前のような過度な違和感がなく、己の手足を輝く瞳で確かめる巫女。
「わあ(๑°ㅁ°๑)‼✧」
「よくわからんが大丈夫なんだな」💦
引っ込めた黒龍さまの手をとり己の頬に触れてみる巫女。
だが、以前に比べて痩せてしまった腕に驚いてしまう。
「💦」
「黒龍さま……こんなにやつれてしまわれて……。わたしが心配をおかけしたのですね。申し訳もござりません」
「ばかだな……」
じっと見つめ合い口ずけを交わそうとしたその時。
「ごほん、まあ無事じゃったとゆうことじゃな」
「あ💦虎紋呪さま💦いらっしゃったのですね💦」
「いらっしゃったじゃのうて、わしは七日間ずっとおるのだ、まったく」
「まあ、これはご無礼をいたしました💦」
そこに金ちゃんが現れて黒龍様はまたでていく羽目となった。
「ちっ、すぐ戻る」
「黒龍さま……。ずっと待っているので、いそがなくとも無事に戻ってきてくださいませ」
ぎゅっと手を握り愛しいお顔を見上げる巫女。
「……ああ。」
離れ難いが仕方ない、と黒龍が出ていく。と。
「巫女よ、大丈夫なのじゃな?」
9
「巫女よ、大丈夫なのじゃな?」
「虎紋呪さま……虎紋呪さまの仰っている大丈夫という意味は……」
「うむ、竜の血はお主に悪い影響を及ぼしておらぬか?悪心が目覚め心がザワつくようなことはないか、ということ……であるかな……」
「あ、悪心とは(//・_・//)カァ~ッ…」
ジジーっと巫女の顔を見つめる虎紋呪僧。
赤くなった顔がさらに赤くなるのを、なにかを探るように覗き込む僧。
「ごほん、心配しとったような変化はなさそうじゃな」
立ち上がり、懐からなにやらだして粥にふりかけ、その粥をよそって戻ってくる。
「まあこれを召し上がられよ」
「そういえばお腹が💦ありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ」
粥に口をつけると
「おいしい♡」
「そうかそうか、それはなによりじゃ」にこにこ
魔封じの薬草入の粥はお味のほうもバッチグーだったようじゃ、と気をよくした僧はかさねて問うた。
「巫女よ、大丈夫なのじゃな?」
「はい。ただ……(//・_・//)カァ~ッ…」
「ごほん、先ほどの、黒龍とのやり取りじゃが…」
「(//・_・//)カァ~ッ…」
今度は耳まで真っ赤になる巫女。
「なんとゆうか……。黒龍は受け入れられそうかのぉ」
「は、はい(//・_・//)カァ~ッ…♡」
「うむ、よいかな?この良い方への変化は妙、とゆうて、決して偶然などではない……。」
「はい」
粥をおいて僧の話をじっとききいる巫女。
「己を卑下してみたり、穢れてしまえば、などと思わんでも正しい心と正しき道に進んでゆこうという姿勢があれば、必ずよい方向へ道は開けてゆくものなのじゃ」
「はい」
「お主の自分を顧みず使命を重んずる心と黒龍の中に芽生えた真心が、きっと、天に通じたに違いない」
「黒龍さまの真心……」
「いかにも。お主の意識がない間、あやつはよく耐え、村の為に力を尽くした。今までのあやつならばすぐ、なにかに当たり散らし、泣き喚き、猛々しい力を持て余し、自暴自棄になっていたじゃろう。でも、そなたを深く想う余り、己を抑え、なにかをはぐくむ方へと向こうた。それこそが妙、神へと向かう心根なのじゃ」
「黒龍さまがわたしなどのために……」
巫女の瞳から大粒の涙がこぼれる。
「わたしなどではない。何者かが、何者かを想う時に、それは己を超えることのできる大きな力になるんじゃ」
「はい」
涙ながらに頷く巫女。
「うむ、じき、黒龍も戻ってくるじゃろ。ワシはおじゃま虫ゆえ退散するがの、今宵こそ、固く結ばれるんじゃろうから」┐(´д`)┌ヤレヤレ
「虎紋呪さまっ💦(//・_・//)カァ~ッ…」
「ワシがゆうたことを忘れてはならんぞ」
「はい」